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シリーズ和装の人たち 武術研究者「甲野善紀」8

インタビューを通じて和装の着こなし方、素材として絹の素晴らしさ、日本の伝統についてお伝えして行きます。
前回に続き、武術研究者・甲野善紀さんのお話をご紹介します。

第8回目は、「 着物の効用 」についてお話しを伺いました。

引き続き、着物を着ることのメリットについてお聞かせください。

着物は、洋服と違って、それなりに“大は、小を兼ねる”ということができます。融通が利きます。融通が利くから、体の大きな人でも小さな人でも、同じ着物を、それほど違和感なく着こなすことができます。そういったところも着物のメリットですね。また、例えば、遺品としてもらった着物も、それを全部ほぐして、洗い張りをして仕立て直せば、自分の体に合わせて作り変えることができます。大きいものを小さくするのだったらまったく問題ないし、小さなものを大きくするのだって、やり方によってはある程度できますから、遺品でも、もらった人が有効に利用できるのですね。

着物の素材としては、やはり正絹が一番です。でも、今はなかなか手に入りにくいので、私はふだんは、綿の久留米絣(くるめがすり)とか、サマーウールとかを着ることも多いです。でも、絹は、体にはいちばんいいのです。


着物のメリットはたくさんあるのですね。ありがとうございました。

次回は、「 着物の手入れ」について、伺います。
(更新予定 12 / 3)

【 甲野善紀 (こうのよしのり)】

●プロフィール 1949年東京生まれ。武術研究者。 1978年松聲館道場を設立。日本古来の武術を、伝書と実技両面から研究し、その成果がスポーツ、楽器演奏、介護、工学等から注目を集め、国内外で指導依頼されている。2007 年から 3年間、神戸女学院大学で客員教授も務める。著書に『表の体育 裏の体育』 (PHP 文庫 )、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫 )、『できない理由はその頑張りと努力にあった』 (聞き手・平尾 文 PHP研究所 )、『ヒモトレ革命』(小関勲共著、日貿出版社 )、新刊『古の武術に学ぶ無意識の力』(前野隆司共著、ワニ・プラス)等多数。「NHK人間講座」、「爆問学問」や「世界一受けたい授業」等TV出演多数。

ホームページ: https://www.shouseikan.com/