
2020年11月11日
シリーズ和装の人たちシーズン2 加賀ゆびぬき講師・絹糸アクセサリー作家「千明 幸代」最終回
「和装の人たち シーズン2」の3人目は、加賀ゆびぬき講師で絹...
インタビューを通じて和装の着こなし方、素材として絹の素晴らしさ、日本の伝統についてお伝えして行きます。
前回に続き、武術研究者・甲野善紀さんのお話をご紹介します。
第4回目は、「 着物と武道の関係 」についてお話しを伺いました。
柔道や空手、あるいは少林寺拳法などの現代武道は道衣を着て行いますが、甲野さんがご専門の古武術は、着物で行うのですか?
私が、武術をやっているから着物を着ているということではなく、ふだん着物を着ているのは、私の“好み”という部分が非常に強いです。でも、結果として、着物を着ること自体が稽古になるんです。
もともと、“体はねじって使わない”というのが日本の文化です。体をねじってしまうと、着物がどんどん着崩れてしまうんですね。昔、嵐寛寿郎という俳優がいましたが、どんなに激しい殺陣(たて)をやっても着崩れず、見事なものでした。最近の時代劇では、襖(ふすま)を開けたりなどの所作一つ取っても、現代風に体をねじってしまいますので、安心して見ていられません。時代劇として、演技にもなりませんね。そこが、昔の時代劇とは決定的に違う点だと思います。
話を戻しますと、とにかく“着物が着崩れないように動く”ということが大切なんです。つまり、言い換えますと、着物が“体の使い方”に影響を与えているともいえます。昔の日本の武術の観点から見ると、ここがいちばん大切なポイントなのです。
着物が着崩れない動き”というのが重要なのですね。ありがとうございました。
次回は、「 着物を着た時の動き 」について、さらに詳しく伺います。
(更新予定 11 / 5)
【 甲野善紀 (こうのよしのり)】
●プロフィール 1949年東京生まれ。武術研究者。 1978年松聲館道場を設立。日本古来の武術を、伝書と実技両面から研究し、その成果がスポーツ、楽器演奏、介護、工学等から注目を集め、国内外で指導依頼されている。2007 年から 3年間、神戸女学院大学で客員教授も務める。著書に『表の体育 裏の体育』 (PHP 文庫 )、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫 )、『できない理由はその頑張りと努力にあった』 (聞き手・平尾 文 PHP研究所 )、『ヒモトレ革命』(小関勲共著、日貿出版社 )、新刊『古の武術に学ぶ無意識の力』(前野隆司共著、ワニ・プラス)等多数。「NHK人間講座」、「爆問学問」や「世界一受けたい授業」等TV出演多数。