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シリーズ:和装の人たち 舞踊家「桐崎鶴女」7

インタビューを通じて和装の着こなし方、素材として絹の素晴らしさ、日本の伝統についてお伝えして行きます。
ひき続き、舞踊家「桐崎鶴女」さんへのインタビューです。
着物のお手入れ方法についてお聞きしました。

着物のお手入れについて教えて下さい。

着物を脱いだら、かけ衿、袖口、つまり直接肌に触れる部分は、リグロインなどの染み抜きでたたきます。リグロインは揮発性の薬品ですが、揮発が遅いので輪染みになりにくく素人向きのようです。習慣にしていましたら、呉服屋さんに「衿・袖の汚れの付きが遅いですね」と褒められましたので効果はあるようです。          

中のほうは自分で工夫を施しています。正絹のものはとろけるような肌触りでとても気持ちがいいですし、静電気を防止する意味でも、やはり袖や裾除けは正絹を身に着けたいですね。ですが、衿やボディ部は洗いたいので、半襦袢は正絹で替え袖をつくってスナップで袖を外して洗えるようにします。スナップを二列にすると裄の調節もできます。衿は、バイアスの洗える衿芯にポリエステルの半衿を掛けておきますと、衿を外さずに半襦袢ごと洗うことができます。

替え袖と同じ生地で裾除けも作ります。正絹の裾除けは、洗うと縮んでしまいますので下にステテコを履いたりしてなるべく肌に直接触れないようにします。裾除けの綿の部分は、霧吹きをかけておくと水分と一緒に汗が蒸発しますので、一晩置いておけば翌日さつぱりと着ることが出来ます。たまに裾除けを洗う時には半渇きのうちに丁寧にアイロンをかけておきます。このようなお手入れにより、正絹も気持ちよく毎日着ることができるのです。

ありがとうございます。

次回洗い張りについての内容をお送りします。
(更新予定6/18)

【桐崎鶴女】

地唄舞上方舞舞踊家「閑崎ひで女」に師事、名取を許される。早稲田大学大学院にて舞踊研究を経て「世界のダンスⅡ」にて東京の地唄舞について執筆。東京・自由が丘、日本橋にて教室を主宰。コレド室町、三越カルチャーサロン等にて講座を開催するなど舞踊公演多数出演。地唄舞の技法を解きほぐして解釈するなどして、東京で継承されてきた地唄舞の研鑚・継承・普及に取り組んでいる。

http://tsurujo.jp/