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”Z” 陣/Zone 京都着物文化象徴の地「西陣」

2019年度、一般財団法人大日本蚕糸会とともに、蚕糸・絹業提携グループ全国連絡協議会は、日本における絹の歴史や文化を紹介するために、ブランドブック「26の物語で紡ぐ日本の絹」を作成しました。
takaraginu.comではWEB公開企画として、追加取材で作成した記事ととも、AからZまでのアルファベット順に更新していきます。

”Z” 陣/Zone
京都着物文化象徴の地「西陣」

地名に学ぶ京都の歴史

西陣織は京都の誇る基幹産業ですが、意外にも行政区域には「西陣」の地名はありません。

京都市市街の北西部、上京区、北区を中心とした地域に、応仁の乱の西軍の本陣があったことが由来という話は有名ですが、現在でも西陣織に携わりのある職人や業者が多く「西陣」と呼ばれ続けています。

その後も一日で千両の売り上げがあったとされる「千両ヶ辻」や、糸の商家が多かった「糸屋町」、紋織を発明した織屋がいたという「紋屋町」など、織物の歴史が地名に残るいかにも京都らしい地域です。

高度な社会的分業が生んだもの

絢爛豪華な西陣織には数多くの準備工程が必要です。製織に出す前までの工程は全て分業で行われ、図案家、意匠紋様業、撚糸業、糸染業、整経業、綜絖業、整理加工業などの業者が独立して企業を営んでいます。

このように社会的分業が発達したことで、これらの業者は専門的で高度な技術を持ち、西陣織の発展にはなくてはならない技能集団となりました。西陣で作られる12種類の先染め紋織物は伝統工芸品として指定されています。

優れた技術とデザイン性の未来

残念ながら現在では着物関係の生産数は少しずつ減少しています。

しかし、西陣織のテキスタイルとしての魅力は着物だけに限らず小物、家具、壁紙、タペストリーなどに使われ、国内外からのファンを得ています。

西陣織会館では着物文化の継承と発展のため、手織り体験、蚕の飼育、純国産絹で作った製品づくり、着付け教室、などで次世代へ向けて和装の魅力を発信しています。

[取材協力] 
西陣織工業組合