
2021年6月9日
”Z” 陣/Zone 京都着物文化象徴の地「西陣」
2019年度、一般財団法人大日本蚕糸会とともに、蚕糸・絹業提...
2019年度、一般財団法人大日本蚕糸会とともに、蚕糸・絹業提携グループ全国連絡協議会は、日本における絹の歴史や文化を紹介するために、ブランドブック「26の物語で紡ぐ日本の絹」を作成しました。
takaraginu.comではWEB公開企画として、追加取材で作成した記事ととも、AからZまでのアルファベット順に更新していきます。
蚕は本格的に繭を作る前に、緒糸と呼ばれる糸を試し吐きします。
一番元気な時に吐き出すこの糸は、大事な繭を作る最も丈夫な糸ですが、生糸を引き出す際に、繭の上等な糸にならない部分(試し吐きの糸)は取り除かれます。それを集めたにしたものが「きびそ」です。
「きびそ」は「生皮苧」と書きます。「苧」という文字には「越後上布」や「小千谷縮」の材料である植物の「からむし」の意味があります。そこで植物ではなく、蚕の繭の生皮のようなものから、麻のような糸ができるという意味で生皮苧と名付けられたのではないでしょうか。
絹と聞くと思い浮かべるのは柔らかく、滑らかで、肌触りの良い糸ですが、「きびそ」は生糸と比べると太く、節が多く、加工が難しく、長い間、屑糸として扱われていました。せいぜい袋物や野良着などに使われるくらいだったそうです。
近年、国内での生糸の生産が少なくなり、今まで屑とされていた糸を新素材として再発見し、オーガニックコットンやウールと合わせることにより、新しい質感の糸が出来上がりました。
現在ではその独特な風合いと、麻のような質感が注目されています。