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”P” 純/Pure 優美な白生地の輝き

2019年度、一般財団法人大日本蚕糸会とともに、蚕糸・絹業提携グループ全国連絡協議会は、日本における絹の歴史や文化を紹介するために、ブランドブック「26の物語で紡ぐ日本の絹」を作成しました。
takaraginu.comではWEB公開企画として、追加取材で作成した記事ととも、AからZまでのアルファベット順に更新していきます。

”P” 純/Pure
優美な白生地の輝き

白生地のふるさと

代表的な白生地の産地は「滋賀県・長浜」「京都府・丹後」「新潟県・五泉」「新潟県・小千谷」の4つで、その全てに綺麗な水が豊富にあること、適度な湿気があげられています。

白生地の代表格は縮緬で、大きく分けると模様のない無地縮緬、生地に模様を織り出した紋縮緬があります。その他にも羽二重は、撚らない生糸を使うのできめ細かく光沢があり、滑らかで肌触りの良い生地なのが特徴です。

娘のため箪笥いっぱいの着物

昭和初期の農家では農閑期の副業として、多くの女性たちが機織りに携わり、白生地を織っていました。

機屋から糸がくると、織子が自宅で織った分の代金を得ることを、賃機(ちんばた)といいました。その他に自宅用に織る反物のことを内織りといい、箪笥いっぱいの着物を嫁ぎ先に見せるため、娘を持つ農家は白生地で織り、必要に応じて染めに出していたということです。

唯一無二の伝統技術がもたらすもの

一昔前までは、結納や贈答品として白生地を送り、嫁入り支度をするこことが当たり前でした。しかし今ではその需要は減り、消費者が白生地に触れる機会が少なくなっていると言わざるを得ません。

そこで生産者は着物にこだわらず、シルクの持つ機能を追求した生地の開発や、新しい商品の研究を続け、白生地の会社としてのブランディングに力をいれています。

近年では丹後縮緬の白生地・着物幅を利用したウエディングドレスが発表され、注目を集めました。日本の伝統技術による上質な素材の魅力が、着物生地の新しい活用法を得て、世界に発信されています。


[取材協力]
株式会社伊と幸/株式会社リバースプロジェクトトレーディング