


”Y” 糸/Yarns かつて世界一だった日本の生糸

”X” 驚/eXcellence 門出を祝う華麗な振袖

昨年度、一般財団法人大日本蚕糸会とともに、蚕糸・絹業提携グループ全国連絡協議会は、日本における絹の歴史や文化を紹介するために、ブランドブック「26の物語で紡ぐ日本の絹」を作成しました。
takaraginu.comではWEB公開企画として、追加取材で作成した記事ととも、AからZまでのアルファベット順に更新していきます。
富士吉田は江戸時代から高い品質を誇る甲斐絹の産地として知られていましたが、昭和後期から徐々に衰退、機屋を廃業する人があとを立たない状況になりました。
2002年、さびれていく町を見て、同業4社の後継者が集まり、かつての甲斐絹を復刻し現代でも通用する製品を開発しようと「甲斐絹座」を設立しました。
「山梨の繭を使い、細く上質で美しい色と柄の甲斐絹を作りたい」との思いで一丸となり、何年も工夫、改良を重ねクオリティを高め、代表作のストールはNY近代美術館のMoMAデザインショップに選ばれるまでになりました。
規模も製品も違う4社が集まり、なぜ成功できたのか?
代表の前田市郎さんによると「情報共有を密にしていること」、また「家庭環境が似ていること」だそうです。
親世代と同居、長男で子どもが2〜3人。生活スタイルが似ていることが仕事をしやすい理由の一つと話してくれました。つまり、日本の地方都市であればどこにでも当てはまるような条件です。
その上で「自分の会社だけが成功すれば良いわけではない」という地域を思う気持ちが成功の最大の要因なのではないでしょうか。
現在、富士吉田市では甲斐絹座を含む織物業者が参加しているプロジェクト「ハタオリマチノハタジルシ」を展開しています。
そのHPではハタオリ町の歴史、工場、オンラインショップなども紹介、生産者と製作者、デザイナーなどが容易に出会える場となっています。「1000年の歴史を持つハタオリのまち」をテーマに様々なイベントが企画され一般消費者向けのへのサービスも盛んです。
新しい人を呼び込み、地域の人たちが生き生きとする、「自分だけでなく、地域のみんなで成功しよう」という目的の旗印のようです。
[取材協力]
株式会社 甲斐絹座
https://www.kaikiza.com/
https://kaikiza.theshop.jp/(オンラインストア)