純国産宝絹

絹にまつわる「ヒト」「コト」「モノ」

SEASON 3-1. 富岡製糸場の「ヒト」

明治5年(1872年)、日本の近代化を目指して創建された富岡製糸場。平成26年6月には世界遺産にも登録されたすぐれた文化遺産ですが、内部では富岡シルクブランド協議会の窓口を担う富岡市の富岡製糸場戦略課が群馬県産の生糸の未来のために、日々さまざまな取り組みをしています。

群馬県産シルクとともに歩んできた20年の経験が、今の笹口さんのものづくりを支えている。

この富岡製糸場で、富岡産の生糸を使った「富岡シルクブランド」の商品開発に取り組んでいるのが、笹口晴美さんです。笹口さんは、平成10年から、群馬県産の繭に特化したシルクニット事業を展開してきたキャリアを乞われて、平成26年4月から、この仕事に携わっています。
国産シルクを次代に繋ぐために格闘してきた経験から「純国産のシルクの維持は(公営である)富岡製糸場でなければできないのではないかと思っていた」と言います。
そんな思いの中で、富岡シルクブランド協議会から「富岡シルクで新しいものづくりをしてほしい」と依頼された時には、「私も志も命を長らえたと思った」と言います。

富岡製糸場のシンボルであるレンガ造りの建物。入り口を入るとまず目に飛び込んでくるのは東置繭所。この建物は平成26年12月に国宝にもなった。

笹口さんが、まず手掛けたのはオーガンジーの開発でした。
蝉の羽を思わせるオーガンジーは生糸の良さがいちばん生きる、しかしその分ごまかしのきかない究極の絹織物です。笹口さんは「ぐんま細」という2.2デニールの希少な極細の生糸を二重構造にして織り上げた生地を、最低5回色を重ねて染めるという方法で、グラデーションの美しいストールの開発に成功しました。

(左)捺染で染めあがったオーガンジー。生地が二重になっているので染めるのが難しく、何軒もの染工場に断られたそう。
(右)希少性の高い群馬県オリジナル蚕品種「ぐんま細」で織ったオーガンジーは白度が高く染色性も良いので、草木染との相性が良く、自然で美しい色に染まる。

色や柄の大きさを細かく変えて、何度も試作した後に商品化した。その名残の資料。

笹口さんは、さらに男性用の商品として、富岡製糸場のシンボルであるレンガ柄のオリジナルネクタイやポケットチーフも開発。このネクタイは富岡製糸場の「シルクギャラリー」で販売されるだけでなく、富岡市のふるさと納税のお礼品にもなっています。さりげなく入ったロゴが粋で色もいいと評判で、人気のお礼品となり、富岡シルクの全国的なPRに繋がっています

次回(11/30予定)は富岡製糸場の「コト」。絹に関する取り組みやセミナーなどについてお伝えします。


富岡製糸場 住所:〒370-2316 群馬県富岡市富岡1−1
☎ 0274-67-0075
http://www.tomioka-silk.jp/tomioka-silk-mill/